二度目の胃カメラ。

先月末から胃腸の調子が悪かったけど、その事自体は珍しくないので放っておいた。
しかしあまりにグズグズと長引くので、重い腰を上げて近所の内科に行った。
そして今日、6年ぶりに、胃カメラを飲んだ。

前回の胃カメラがあまりに辛かったので(ここにも書いたっけな…。もう二度と胃カメラはやらないと心に誓ったです)随分渋ったんだけど、なんか眠ってるうちに終わるらしいし(前回はのどにためるゼリー状の麻酔だけだったので、先生が嬉しそうにツアコンをつとめる「かっとくんのお腹の中体験ツアー」を堪能するはめになった)、ピロリ菌というやつが僕の体内にいることも薄々感じていたので、じゃあ、まあ、お願いしますという事になったのだ。

「先生、くれぐれも、お願いしますね。しっかり寝かせてくださいね。前回はもう、大変だったので」
「わかったわかった。大丈夫大丈夫。任せておきなさい。じゃ明日、待ってますからね」

本当に大丈夫かなあ…、いくら寝てても、あいつ(カメラね)がぐぐぐって入って来たら起きてしまうんちゃうやろか…と不安に感じながらもその日は早めに食事を済ませ、就寝。ぐっすり。朝起きて、コップ一杯の水を飲み、午前八時二十分病院へ。


「まえださ~ん。まえだかずひとさ~んこちらへどうぞ~」


看護士さんに呼ばれる。僕は「僕胃カメラ駄目なんですよ~、不安なんですよ~」という表情を隠しもせず、うなだれながら診察室へ向かう。しかし看護士さんは僕の事を単に「暗い人」だと思ったみたいで(まあ、初対面だからね)、テキバキと血圧を計ったり、事前の準備をこなして行く。奥の部屋では違う看護士さんがなにやら機械を操作している。ああ、あいつ(カメラね)だ。あいつが鎌首をもたげ、獲物(俺ね)の到着を待っている!


「まえださ~ん。荷物をもってこちらにいらしてくださ~い」


呼ばれた。もうしょうがない。暗い人はやめて、ナチュラルに奥の部屋へ移動する。


「胃カメラ、初めて?」
「え? いえ、二回目です…」
「あそ。じゃ、慣れてるわね」
「え」


僕は慌てて暗い人を復活させる。届け、不安オーラ! 優しくして!


「いや…もう、前回酷くて…。おえおえで。いやもうほんと…」
「あそうですか。はい。じゃあこれお腹の中の空気を抜くお薬ですから飲んでくださいね」
「は。はあ…」ごくりごくり。


「はい、次は喉の麻酔です。のどの奥に二分ほど溜めてくださいね」


これや! 前回全然効かなかったやつ! ちょっとでも効くようにと、天井を見上げ食道ぎりぎりの所に溜めようとする。そんなに上向かなくても大丈夫ですよ、普通にしてくださいという看護士さんを無視して、必死で喉の奥へ薬を運ぶ。なりふりかまっちゃいられないのである。

その後、喉にスプレーする麻酔をして、いよいよベッドの上に。壁に背中を付け、横になる。うわあ、思い出したこのポーズ。うわあ。早く寝かせて~。


「カメラをかまないように、マウスピースしますね」


マウスピースを口に押し込まれ、テープで止められる。口の自由が利かない。SMだ。マリリンマンソンだ。


「じゃあちょっと注射しますね。今日は、曲げない所に打ちますね」


今日はってなんやねん! どこでもええよ~!


「はい。じゃあ次は眠くなる注射を打ちますね」


来た! 濃いめで! 濃いめでお願いします!! 


頼む、効いてくれ~…!!




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十センチ四方位の立方体のブロックが、規則正しく空間に並んでいる。そのブロックが集まって、日本地図に似た図形を描いている。
その中の一個のブロックに違和感。日本地図でいうと、大阪府くらいの場所。そこに違和感。

ごほっ。ごほっっ

あ、俺おえおえしてる。そうや、胃カメラしてるんやった。誰かが俺の右手を取り押さえてる。おおおお。

次第に意識が戻ってくる。立方体のブロックが詳細な形を取り戻し、胃カメラの器具と、僕の体になっていく。

「はい。終わりましたよ」
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え??? もう終わったの? 始まったんちゃうの? ええー! もう?
看護士さん達ががやがやと部屋を引き上げて行く背中が見える。
僕は狐につままれたような気持ち。「私にはスタートだったの、あなたにはゴールでも」を地でいく展開である。
頭がぼおっとしている。

診察室へ。そういえば先生に今日初めて会った。

胃の中をスライドショーで見せてもらう。食道に入る前に声帯がちらっと見えたので、ちょっと止めてもらう。おお、綺麗になってるぞーと違う所で盛り上がると先生も「うん。綺麗ですね」と合わせてくれた。優しい。

胃も(僕の目には)綺麗なもんだったけど、プロの目からするとそうでもないらしい。所々「この辺の隆起とかは本当はないんですけどね」とか、「うーんこの辺もちょっといやらしいですね」とか言ってくれる。いやらしいんですか。

そしてプチ試験管のようなものを取り出し、中にある液体を見せてくれる。

「はい。この中身がピンクだと、ピロリ菌がいるという事になるんですが、これは何色ですか?」
「ピ、ピンクです(って俺は子供かあっ!!)」

と、いうわけで、まあ諸々の不調の原因はピロリ菌の仕業であると言う可能性が高いので、薬で除菌して行きましょうという事になった。先生の仰った通り、胃カメラもなんだか夢見心地で終わっちゃったし、声帯の様子も見れたし、良い病院でした! ありがとう、先生と看護士さん!

というわけで、結論!

胃カメラは、怖くない! 寝かせてもらえば、大丈夫!!