SHAME再結成について。

2006年3月15日、僕にとって原点のバンド「SHAME」がオフィシャルホームページ上(www.m-up.com/shame)で、再結成を発表しました。



ここを見てくれている人の殆どは、最近の僕の活動もご存知だと思います。なので僕と百田留衣のプロジェクト「ORCA」はどうなっちゃうの? と疑問に思っている人も多いと思います。



結論から言いますと、ORCAは今後も活動して行きます。僕が今後SHAMEとORCAの両方で活動する事を、留衣氏も承諾してくれたからです。ORCAとは二つの個性がぶつかり、混ざり合ってその輝きを増す存在です。僕のSHAMEでの活動が、これからのORCAにとって良い刺激をもたらすと信じています。



次に、僕が何故再結成を思い立ったかという事をお話したいと思います。



01年に解散を決意した時は、再結成は有り得ないと思っていました。僕は新しいフィールドで、バンドサウンドという枠にとらわれない活動がしたかったし、それこそが僕の音楽を成長させる唯一の道だと感じていたからです。

02年、ソロプロジェクト「SKYFISH」で打ち込み&全英語詞という方向を試し(それはまだ終わった訳ではありませんが)、その後百田留衣氏とORCAを結成しました。僕にとってもう一人のソングライター、そしてボーカリストと一緒に音楽を作り上げていくのは、当時も今もとても刺激的です。



ORCA結成以降、僕はある狙いがあって自分と自分の曲との間に努めて距離を置きました。それまでの僕にとって曲とは自分の分身であり、それゆえに思うままに作れないというジレンマを感じていましたが、曲との距離をおくことによって、僕の作詞曲能力は一皮剥けるだろうと思っていたからです。事実僕は客観という武器を手に入れて、自分のそれまでの枠を超える事が出来たと思います。歌い手が二人いる事がその狙いを一層明確にしました。ORCAのコンセプトとして、私小説的な歌でなく、沢山の人が共感できる歌を歌いたかったのです。



しかしある日の作曲中、僕は無意識にSHAMEの曲を参考にしている自分に気が付きました。自分の中のリアリティ、熱いものを曲に託そうとすると、どうしても自分が曲を書き始めた頃の気持ちに戻ってしまうのです。

そこで僕は自分がSHAMEの曲を歌いたがっている事に気付きました。

十八才の気持ちに戻って曲は書けても、実際に十八才になることは出来ない。だからその頃に作ったSHAMEの多くの曲は僕にとって掛け替えのないものだと言う事にも気付きました。

解散という選択をし、そこからの活動で得たものは沢山あります。しかし解散によって失ったものも多いと言う事実にようやく気付きました。



僕はこのままSHAMEという自分の人生の、音楽の大切な部分を置き去りにしたままでいいのだろうかと、それから長い間煩悶しました。音楽的にやりたい事があるのに、自分の心に背き、それをやらないのは僕にとって大きな罪です。自分の心を偽る事なく誠実に音楽を表現する事が、多くのものを持たない僕にとって唯一の信条で、誇れる事だからです。



僕は自分のこれまでの行動を悔いてはいません。いつも100パーセントの心で音楽に接してきたつもりですし、解散を経験し、SKYFISHをやり、そしてORCAの活動から得たものは数えきれません。あのままSHAMEを続けていたら気付かなかった事がきっと沢山あると思います。だからこそ今大事なのは、僕がそれらで得たものを胸に「これから」何をするかなのだと思いました。

僕にとってバンドであるSHAMEも、ソロであるSKYFISHも、ユニットであるORCAも、自分が関わった大切な音楽です。ならば僕が歩みたい道は一つ、もしそれが許されるならば、全てを引き連れて進んで行く事だと思いました。



この時点で僕は自分の気持ちを留衣氏に伝え、SHAMEの(その時点では元shameですが)メンバーに伝えました。オリジナルメンバー、あの4人でなければSHAME再結成はないと思っていました。解散してから僕もSHAMEを客観的に見る事が出来るようになり、あの4人が交換不可能なSHAMEだったのだと改めて痛感したからです。



そして今日2006年3月15日に、皆にSHAME再結成を発表する事が出来ました。

とても嬉しいです。

沢山の人の理解、協力、助力がありました。本当に感謝しています。



この選択は、僕にとってムシが良すぎるという批判もあると思います。SHAMEの解散によって心が揺れた人や、今のORCAに変化を望まない人にとっても不快かもしれません。それについては僕は本当に申し訳なく思います。この文章は僕の気持ちをできるだけ正確に書いたつもりですが、きちんと伝えられているか自信はありません。ほんの少しでも「まあ、わからないでもないよ」と思ってもらえれば幸いです。



僕はまだ自分が(或は自分達が)大きな物語の中にいると信じています。長文を読んでくれてありがとう。これからの僕達の音楽に、皆が共感してくれる事を祈っています。



2006年3月15日        前田一人/CUTT